ポーランド留学への獣道 その④地獄の入学手続き/公印確認とか
これで準備失敗談は最後です。
基本的に全て自分の準備不足が招いた事態なので、白い目で見てください。
この失敗談が、この先誰かの何かの助けになれば幸いです。
大トリは、公印確認とアポスティーユです。
公印確認でやっぱりつまずいた
つまずきました。あんなにネットで調べて友人にも尋ねたのに。
皆さんは、公印確認とアポスティーユをご存知ですか?
どちらも、海外に日本の書類を提出する際に必要な「この書類はちゃんとしたものです!」という証明です。
詳しくは外務省のウェブサイトをご覧ください。
アポスティーユ:公文書が対象、外務省でハンコ
公印確認:私文書が対象、外務省でハンコ→提出先国の大使館でハンコ
日本では、国立大の証明書も、独立行政法人ということで私文書扱いです。
大体の人が大学の証明書には直接アポスティーユはつけられないと思います。たぶん。
私の留学先の要綱には、
「アポスティーユかリーガリゼーション(この場合は公印確認)をしたディプロマ」とありました。
大使館にも確認の上、ディプロマに公印確認をしてもらいました。
でも、いざ「リーガリゼーションしました!」と送ってみたら、
「これじゃだめ。アポスティーユにして」と突っ返されてしまいました。
え…じゃあ公証役場コースなの…?公印確認はリーガリゼーションにならないの?
と若干怪しみながらも、仕方ないので公証役場で宣誓するタイプのアポスティーユを取得し直しました。
公証役場でのアポスティーユは、ディプロマではなく宣誓書につくので、厳密にはディプロマにアポスティーユをしたことにはなりません。
(詳しくは外務しry)
案の定「これノータリゼーションじゃん。だめです。アポスティーユはここできるよ(外務省の住所が送られてくる)」
「(できません...)」
どうしようもなくなったので、
・日本では国立大の書類も私文書扱いで外務省ではアポスティーユがつけられない
・どうしてもつけたければ、公証役場でノータリゼーションを通すことになる
ということを、システムも含めて事細かに説明してなんとか納得してもらうしかない、と爆裂長いメールを書きました。
外務省の英語ページもフル引用です。
そもそも大学側だっていちいち日本のケースなんか知らないだろうと冷静になり、一からきちんと説明しようとしました。
加えて、
・というか、以前出した公印確認じゃホントにダメなんでしょうか...?
とダメ元で公印確認したバージョンを再度添付しました。
返信
「あ、こっちでいいよ(公印確認)。オッケーオッケー」
脱力^^
※ちなみに、もし準備がスムーズに進んでいたら、
アポスティーユもしくは公印確認をしてから、翻訳してもらったほうが無難です。
証明されているということも併せて翻訳してもらえるので。
海外旅行保険に加入
最後の最後に、保険です。
私の留学先は、健康診断書ではなく保険の証明書を必要書類としています。
現地で格安の健康保険に加入する方も多いと思いますが、
私は日本でビザを申請する時に保険に入っていなければならなかったので、
留学生用の海外旅行保険に加入する必要がありました。
色々悩んだ結果、
日本の大学で加入している学研災の「付帯海学」という保険が一番安くて、かつ必要項目をカバーしていたので、そちらに加入しました。
厳密にいうと、ビザ申請に求められている「緊急一時帰国用費用」はカバーされていないのですが、申請できました。
学研災の保険は、所属している大学によっても加入できるプランが違うので、大学に聞いてみてください。
加入がとりあえず1年でよければ、「たびほ」も良かったんですが、
大学側の条件に「在学期間全てを満たす保険(私は2年)」という記載があり、断念しました。
保険の加入証明書も翻訳してもらい、提出しました。
手続き、完
長々と手続きに関して書いてきましたが、終わってみれば必要な書類は
1、ディプロマとその翻訳+公印確認
2、保険の加入証明書とその翻訳
3、学生証用の証明写真
+途中オフィスから「これにサインしてね」と送られてきた何種類かの書類
です。
苦労したはずなのに改めて見ると少ないです。普通なら難なくこなせるものだと思います。
私がつまずきすぎただけです。
これら書類は全て先にメールで送りましたが、9月の頭に渡ポした際にオリジナルを全て提出して、やっと入学手続き終わりです。
大学のマイぺージやメールアドレスも使えるようになりました。
次の難関は履修登録です。今から怖いですが、頑張ります。
次からはちゃんと美術の紹介をします!
ポーランド留学への獣道 その③地獄の入学手続き/翻訳
前回は出願と試験までを書きました。
一般的に考えて、受験で一番大変なのは試験ですよね。
2019年6〜8月:書類準備
ですが、私の場合、ここからが本当の闘いでした。
全ては「書類は受かってから準備すればいいや」という舐めた考えのせいです。(前回の記事参照)
私の大学は、
「留学生で書類の準備に時間がかかる場合、9月25日までに提出すればよい」
という説明書きが載っていました。これが第2のトラップ。(というか私の勘違い)
次に、合格後のオフィスで、
「今出せるものだけメールで送って。あとは9月で大丈夫」
と言われました。(これはトラップでもなんでもなく、間違った説明でした。)
もちろん、何も準備していかなかったわけではありません。
写真・学位と成績の証明書一式、は持って行きました。
それから、合格後に発行された入学宣誓書も持って行きました。
しかし、現地では全てオリジナルは受け取ってもらえず、「メールで送って」とのこと。
その時に「翻訳が間に合わないことを明記してね」と言われました。
この翻訳が大問題でした。
大学側から最初に指定された書類の提出締切は試験後1週間という短いもので、
試験後に準備を始めたのでは、とても翻訳は間に合わなかったのです。
というのも、翻訳は「ポーランド法務局が認定した公認翻訳者の翻訳でないとダメ」で、個人で翻訳者に依頼をしなければなりません。
ポーランドの大学の要綱には、おそらく大体「公認翻訳者、もしくは各国の大使館での翻訳のみ」と記載されていると思います。
ただし、駐日ポーランド大使館では、個人の翻訳は受け付けていませんので注意。
必ず、自身で翻訳者に依頼する必要があります。
「9月までで大丈夫」という話を鵜呑みにした私は、帰国して呑気に準備をしようとしていました。
そこへオフィスからメールが。
「今すぐディプロマの翻訳を提出してください。さもないとあなたは失格です。」
固まりました。
慌てて尋ねたところによれば、どうやらディプロマの翻訳だけは最初の締切中に提出しなければいけなかったようです。
数日だけ待ってくれるとのことで、慌てて公認翻訳者に依頼。
幸いにも受けてくれる方が見つかり、念のために2人の方にお願いして、なんとか間に合いました。
さらに、もう一つ大きな勘違いがあったのですが、それは、
提出するのは修士号のディプロマだけ でよい ということです。
実はこれが第1のトラップでした。
(嵌められたみたいな書き方していますが、要は私の勘違いです)
前回の記事にも書いたのですが、
出願の際に「入力した成績は書類で確認する」と言われ、
さらに合格後最初にオフィスに持って行った時も「ディプロマも成績証明書も全部出してね」と言われていました。
確かに、要綱には成績証明書の提出は書かれていません。
でも私は上記のやりとりがあったため、全て提出しなければならないと思い込んでいました。
つまり、必要だと思っていた大学関係の書類が、
学部の成績証明書・学部の卒業証明書・修士の成績証明書・修士の修了証明書(ディプロマ)から、
修士の修了証明書(ディプロマ)だけになったのです。
※出願の際はシステム上に全ての学業情報を入力したのですが、複数入力する場合どの学位情報を優先するかを選択できます。私はそのうち「修士の成績の方を優先する」としていたので、修士だけで良かったようです。これも勘違い。わかりにくすぎませんか...
とはいえ、必要なのがディプロマだけだと分かったので、翻訳の依頼もしやすくなりました。
「すみません特急でこの1枚だけ、1枚だけなんとか翻訳をお願いできませんか」という感じでメールを送りました。
このディプロマの翻訳提出を待ってもらっている間、
オンライン上では「失格」と表示されていたので、生きた心地がしませんでした。
もはや精神的には完全に死んでいました。
ちなみに以下の手順で提出しました。
翻訳者から翻訳された書類がまずPDFで届く
↓
PDFを大学にメールで提出+OKの連絡
↓
翻訳原本が翻訳者から自宅に郵送されてくる
↓
公印確認したディプロマの原本と共に翻訳の原本を9月までに直接オフィスに提出
その後、他の書類も同じ手順で提出しました。
ちなみに、
1、出願時に入力した成績内容は後で書類で確認する
2、すぐに出せない書類は、翻訳も含めて9月までで大丈夫
3、ディプロマの翻訳だけは最初の期日に出さなければならない
対応してくれたオフィスの方は、全て別の方です。
「人によって対応が違う」という洗礼を早速受けたのでした。
結果的にその後は3番目の方にずっとお世話になり、おかげで全ての手続きを完了できました。
トラップだなんてまるで大学が罠を仕掛けたみたいな書き方をしていますが、
そもそも私が早め早めに準備をしていたら起こらなかったミスです。
自業自得です。猛省です。沢山の人に迷惑をかけてしまいました。二度とないようにします。
次回は公印確認とアポスティーユ、残りの書類について書きます。
ポーランド留学への獣道 その②出願から受験まで
前回は、出願する前までをお話ししました。
今日は出願から受験本番までを書きます。
2019年2月:オンラインで出願
出願自体はあまり難しくありません。
オンラインの出願フォームがあって、そこに必要事項を入力していくだけです。
私の大学は、全てポーランド語と英語で表記がありました。
(※詳細な入力に関しては割愛しますが、もし私と同じ大学に出願される方でお困りでしたら何か力になれるかもしれないので、連絡をください。)
難しくないと言っておきながら、私は何故か出身高校の名前と所在を2度間違え、オフィスにメールでお願いして修正してもらいました。
さらに、私が日本で所属する大学が学部の成績しかGPA制度を採用しておらず、修士のGPAを自分で計算しなくてはいけなかったので、その点についてもオフィスに確認を取りました。
この時、「成績は後で書類で確認するから、自分で計算して入力しちゃって大丈夫だよ」と言われたことが、予期せず後の大混乱を引き起こします。
出願だけで相当のメールのやりとりをしました。わからなかったらすぐ質問というのを繰り返していたので、既に超迷惑野郎でしたが、オフィスの方は毎回丁寧に教えてくれました。
心配性なので、緊張で汗をダラダラ流しながら1日1項目ずつ入力していました。
ちなみに、私の大学は最大で計5回入試を行なっており、定員に達するまで出願を受け付けています。
最速は年明け出願で、私は2回目の出願期間だったようです。
オンライン入力が終わったら、受験料を支払います。
受験料は80złでした。
支払いには、Transfer wise(トランスファーワイズ)というサービスを利用しました。
海外送金の手数料の高さを嘆いていたら友人が教えてくれたのですが、「安い・早い」便利なサービスです。
その後も翻訳料や授業料の支払いで度々お世話になっています。
また、合格後必要な書類の準備もどんどん進めたほうがいいです。
大学によって要求される書類は異なりますが、ディプロマの翻訳などは早めに取り掛かっていた方が良いです。
私は「まだ受かるかわからないし、とりあえず受験に集中!」などとほざいて後回しにした結果、大変痛い目を見ました。
書類については、③の記事で詳述します。
また、この頃に奨学金に合格しました。
2019年5月:試験
私の大学は「渡航にビザが必要な場合を除き、スカイプ等での受験は不可」だったので、現地で入試を受けました。
*相談すればスカイプで受けられるそうです。
試験については、面接であること・指定の日付に実施すること、の二点しか分かっておらず、時間と場所は2日前に公表されました。
試験は、歴史学部の外国人留学生を対象とするポーランド語での面接です。
私の時は、他に2人の受験生がいました。専攻はバラバラです。
順番に呼ばれて面接を受けます。大体1人10分くらいでした。
試験官は3人で、「ようこそ、よく来たね」と握手で出迎えてくれ、お水を用意してくれていたり、とても親切でした。
出願理由と自分の研究についていくつか質問をされました。
質問自体は予測できる範囲のもので、きちんと準備していったのですが、緊張で全然うまく話せませんでした。
終わって次の人が呼ばれるまで時間がかかるようだったので、勢いで他の受験生をナンパしました。
(向こうはまだ試験前だったので、大変な迷惑。反省。)
彼女はポーランド文学を専攻している台湾からの留学生で、ポーランド語がめちゃくちゃ上手な上に日本語も話せるというスーパーヒーローでした。
しばらくして彼女を呼びにきた試験官から、
「君、入学は大丈夫だけど、授業ついていくのにはまだまだポーランド語ダメだからね、ちゃんと勉強してね」
とここで合格通知と叱咤(激励…)。
数日後、オンライン上でも正式に合格と表示され、一安心。
ひとまず、留学先のスイスから応援に駆けつけてくれていた友人2人と(超感謝)、ひと時のお祝いを楽しみました。
この時は、その先に入学手続きDeathレースが待っていることなど全く知らなかったのでした(⌒▽⌒)
ポーランド留学への獣道 その①先生に突撃
こんにちは。
いくつか美術記事を投稿してから閑話休題的に書こうと思っていたのに、
真っ先に留学準備の失敗談が出来上がってしまいました。
強調しておきますが、失敗談です。
温めておいてもどうしようもないのでさっさと公開します。
博士課程を選ばなかったのには色々理由がありますが、割愛します。
2018年夏:準備スタート
2018年の6月頃、師事したいポーランドの大学の教授に初めてメールを送りました。
運良くすぐに返信があり、秋に直接会いたいという申し出を受けてもらえました。
「遠い日本に住むあなたがポーランドの文化に興味を持ってくれてとても嬉しいです。この大学にはポーランド中世美術の専門家が揃っているので、あなたの研究に相応しい環境でしょう。ポーランドに来たら連絡をください。」という親切な対応に舞い上がった記憶があります。
ただし、私の留学先では、修士課程に進む場合、教授への連絡は必ずしも必須ではない思います。
私は、同じ研究室の仲間がフランスやイタリアに留学するのを横で見ていて、教授に連絡を取りアクセプトレターを貰っている人が多かったので、とりあえず教授にコンタクトをとりました。
ですが、結局はこの大学が完全に試験のみで合否を判断する形式だったので、教授と連絡が取れているかどうかは全く関係ありませんでした。
勿論、先に顔見知りになっていて損はありません。むしろおススメします。後述します。
2018年秋:現地でご挨拶
1)教授が監修した展覧会のレセプションへ
ご挨拶する前にレセプションに呼んでいただきました。とても緊張しましたが、日本の展覧会のそれと同様でした。大衆に紛れ込みました。
講演後の教授に声をかけられ、アワアワしながら自己紹介。
この時、別の教授も紹介されました。この方も先行研究で大変お世話になっており、握手をして大興奮でした!
2)三者面談
教授2人との面談に。
1時間くらい、ポーランド語と英語を交えながら、
「これまでの研究」「クラクフで学びたいこと」などを聞いてもらいました。
私が当時考えていた研究の方向性(ハンザ同盟と作品流通およびそれに付随する様式の変化)に関しては、
「あなたがやろうとしていることは、一次史料も少なくてかなり厳しい。作品の様式や図像に絞った方がいい」とアドバイス。
若干ヘコみましたが、むやみに突き進む前に軌道修正ができて良かったです。
3)授業に参加
さらに別日、ゼメスター初回の授業に参加させてもらいました。
中世美術ゼミの初回で、オリエンテーション風に90分のお話。
終了後に学生が声をかけてくれ、1時間ほどお茶をしながら大学のことを教えてもらいました。
彼女はエラスムス・プログラムを利用してギリシャに留学中なので中々会えませんが、何かと相談に乗ってくれるので知り合えて本当に良かったです。
試験のために必須ではないけれど、色々と付加価値があるので、
やっぱり事前に先生と知り合っておくのはいいと思います。
個人的な感覚ですが、その後色々な場面での「初めて連絡する」ということへのためらいも減った気がします。
次回は、出願から受験、その後の手続きまでを書きたいと思います。
ポーランド南部からこんにちは
こんにちは、SONOPIといいます。現在都内の大学院の博士課程に所属するお先真っ暗の院生です。
専門は西洋の後期中世美術で、15世紀ポーランドで制作された彫刻の研究をしています。
ポーランドの中世美術・・・?
簡単に「ポーランド中世美術」と呼んでいますが、そもそも中世という時代区分も難しい、そして何より当時は国境の変動が激しく、その定義はあやふやです。とりあえず便宜的にそう呼んでいますが、実際に研究では、ポーランド(南部)と隣接するドイツやチェコの美術を併せて扱っています。「ポーランド南部で制作された作品を対象に、その様式や図像の受容と発展を、その他諸地域の作例と比較しながら、美術史の流れの中で追う」というわかりにくい感じです。
とにかくポーランドが好きです。
留学中です
今年秋から、念願叶ってクラクフの大学に留学することになりました。コペルニクスや、ヨハネ・パウロ2世が通っていた大学です。日本では博士課程に在籍していますが、留学先は修士課程です。博論に繋げる研究をしつつ、二つ目の修士号取得を目指します。
今思えばもっと早く留学すればよかったな、とも思いますが...
大変だった留学準備についてもそのうち書きたいです。
ブログ
留学するにあたって、「一生に一度だし、留学の記録を残したい、ポーランドの中世美術について研究以外の方法でも伝えたい」と考えました。その結果がこのブログです。
実際、最近はワーホリや英語留学なども盛んで、ポーランドに関するブログはいくつも公開されています。特に生活情報に関してはかなり充実した情報を発信しているブログがあります。強いです。どうぞそちらを参考にしてください。私もすごくお世話になっています。
ですので、このブログでは中世美術の紹介と、私のどうしようもない留学苦労のメモを綴っていきます。有益な情報は多分ほとんどありません。
でも、少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。
中世ポーランド、覗いてみませんか
日本では、直行便も毎日就航になり、日に日にポーランドへの関心が高まっているように感じます。歴史や文化も今まで以上に様々なかたちで発信されています。ただ、そこで中世が取り上げられることはあまりありません。近現代に加えて、それ以前のポーランドについても知ってもらえたらいいな、と思っています。
どうぞよろしくお願いします!