ポーランド中世美術案内

ポーランドの中世美術を研究する院生のメモです。2019/10~クラクフ留学中。Twitter@entieey

ヤギェウォ大学 2019/2020年度 冬学期授業レビュー

怒涛の更新です。なぜなら今はゼメスター間休暇だからです。

やっと一区切りのついた冬学期の授業について書きます。

ポーランドの大学院は本当に大変です。

日本の修士の時は、授業的にはかなり楽をしていたので、ギャップで死にました。

 

所属:ヤギェウォ大学 歴史学部 美術史専攻 修士課程1年目

言語:ポーランド

 

月曜 09:00~10:30 美術史の理論・演習(必修)

概要

同日夕方の講義とペアの演習。大体週半ばまでに課題文献がメールで送られてきて、キーポイントをまとめて、日曜までに先生に送る、のが準備。授業ではそれを踏まえてディスカッションします。

この課題文献は基本複数で、しかもそれぞれ分量が多すぎて、全部まとめられないことがほとんどでした。それでも毎週必ず1つは予習を提出するようにしていました。

テスト

授業内容から14問+初見テキストを読んで何の理論を反映しているかを説明させる1問の15問でした。全部記述、時間は約90分。

ちなみに今回の初見は新プラトン主義に関するテキストでした。

再試で口頭試問を受けて合格しました^^

 

月曜 13:30~15:00 講義・戦後建築(選択必修)

概要

戦後の建築を牽引した世界中の建築家とその作品を大量に紹介!という感じでした。面白かったです。面白すぎて、今ベルリンに建築を見に行こうと画策しています。

先生に頼まれて、日本の戦後建築について短いプレゼンをしました。メタボリズムとか、調べるのはとても楽しかったです。

テスト

授業で扱った中から5作品が出題されて、建築家と建物名を答える小テスト。10分くらい。一発クリア。

 

月曜 17:00~19:15 美術史の理論・講義(必修)

概要

プラトンから現代まで、各時代で「美」がどのように考えられてきたか、という講義。2時間超の授業中、兎にも角にも板書、板書、板書!スライドがあるだけ優しいと言うべきか。毎回ノート12ページくらいの分量。月曜の夜は右手に力が入らない。もう忘れたい。

テスト

先生の部屋で口頭試問。15枚くらいのカードが裏返しに置いてあって、一つ選んでめくって、そこに書いてあるテキストを読んで、誰の何の本か当てたうえで内容に関して質問。無理です。私はアンドレア・パッラーディオの建築論を引いたんですけど、ポー語ができなすぎてボコボコに怒られ、その場で再試、次はダ・ヴィンチクールベの理論についての質問。

なんとか合格したけど、もう忘れたい。

 

火曜 08:15~09:45 講義・戦間期リヴィウの建築(選択必修)

概要

大戦間のウクライナリヴィウの美術を扱った講義。主に建築。たまに墓地。

住居や役場などの公共建築がメインで、特徴的な装飾などについて勉強しました。

元々ウクライナに関心があったので履修したけど、見事に沼にはまり、11月にリヴィウに行きました。

テスト

10問記述。90分。再試^^

 

火曜 13:30~15:00 メインゼミ・中世ゼミ(必修)

概要

指導教官のゼミ。毎週まず先生が新刊紹介をして、博士院生が研究発表したり、修士2年が中間発表したり。たまに皆で展覧会見に行ったり、修復作業見せてもらったり。大分フリープラン。

課題

今学期は自分で選んだ文献の書評。提出ではなく、ゼミ内で読み上げる形式。私は15世紀のクラクフの聖母子像に関する文献を扱いました。

 

火曜 15:15~16:45 講義・デューラーの時代の芸術(選択必修)

概要

タイトルのまんまです。デューラーと仲間たち。担当の先生の専門がポートレートということもあってか、肖像画に重点が置かれていた気がします。

何故か毎回絶対15分前に開始してた。なんで。

テスト

「短いテストだから~」なんて言ってましたけど、確かに短かった、時間だけは。スライド見ながらミッチリ10問記述。多分15分弱で回収された。無言で次のスライドに移るため、1問目を書いて頭を上げたらそこに映っていたのは3問目。ん?2番どこいった?元気に再試^^

 

水曜 08:00~09:30 講義・15世紀イタリア彫刻(選択必修)

概要

ギベルティとブルネレスキの伝説の一戦から始まる花のイタリア彫刻史。恥ずかしながら知らなかった彫刻家も結構いて、勉強なりました...

テスト

「3分で終わるよ~」と言っていて「(いやいやそれはさすがにないだろ)」と思っていたら本当に3分で回収された。究極の選択3問。さすがに一発クリア。

 

水曜 11:30~13:00 英語B2+(必修)

概要

歴史学部のM1合同の英語。5つくらいグループがあり、時間や先生で選ぶことができます。

私が選んだグループのメンバーは私以外全員史学専攻。

ちなみに、英語C1を持っていれば履修不要です。私の同期はほとんど持っているようで、というか、多分英語受けてるの私だけw 

英語ができなくてひどい

テスト

普通の英語のテスト。リスニング、読解、単語、ライティング。普通に再試。

 

水曜 13:30~15:00 講義・18世紀のリヴィウ美術(選択必修)

概要

バロックロココリヴィウを堪能したい人にピッタリの授業。ウクライナ美術で多分一番有名な彫刻家ヨハン・ゲオルク・ピンゼルの大ファンな私は勿論履修。

教会建築と付随装飾についてミッチリ叩き込まれ、スッカリ脳みそはウクライナになった。一瞬専攻を変えたくなった。

テスト

5問記述。「今から最後の講義するから、その間に解いてね」という新しいスタイルのテスト。皆、ノートを見ながら解答。いいのかそれで。いいんだね。オッケー私もノート見ます。一発クリア。

 

水曜 17:45~19:15 サブゼミ・近代ゼミ(必修)

概要

サブゼミは、メインゼミとは違う時代区分のゼミを選択する必要があります。

私は「16世紀ポーランド建築におけるイタリア建築理論の影響」が与えられたテーマです。特にセバスティアーノ・セルリオとポルタール装飾について。

普段の授業は、基本的に先生がフリートークするのを4人の生徒で聞いているという、中々辛いものです。視覚的リソースゼロのポーランド語の雨、えぐい。

テスト

研究の中間発表+原稿提出。

 

金曜 14:00~15:30 講義・美術史のための文化人類学(必修)

概要

「美術史のための」とタイトルについてたけど、一般的な文化人類学、だったと思います。フィールドワークで先生がアフリカに行っちゃったりして、全回数中半分が休講でした。授業料返せ~~~

でもとても親切な先生で、授業自体は面白かったです。なんやかんや理由つけて日本の話題を振ってくれたりして。まあカミカゼの話題とか出されても苦い顔しかできないんですが。

テスト

授業の内容からではなく、あらかじめ指示されていた文献3つに関する選択問題10問+自由記述。約60分。一発クリア。

 

 

上記に加えて、火木の夜に語学学校を入れていたので、週13コマでした。

 

 

選択必修の講義は、1年間を通して8コマ履修する必要があります。

それも好きなものを選べるわけではなく、グループA~Fまでに分類された講義の中から、「Aからは2つ、Bからは1つ」などというように指定されています。

 

ちなみに、信じがたいことに、シラバスによれば、なんと最終ゼメスターが一番授業数が多いです。修論を出す学期です。頭おかしい。

まだまだ挫折する可能性は残されています。乞うご期待。