ポーランドの美術館①ワルシャワ国立美術館・中世ギャラリー
前回の記事から4か月も空いてしまいました。
大学の授業が辛すぎて生きるので精一杯でした。ワールドトリガーにハマりました。
さてこのシリーズでは、ポーランドの美術館と、そこで見られる中世美術作品をご紹介します。
ワルシャワ国立美術館 Muzeum Narodowe w Warszawie
ワルシャワ中央駅からトラム、バス、徒歩で行けます。
中央駅から歩くと15分くらいです。
ワルシャワ観光の目玉である旧市街から少し離れているせいか、いつ行っても比較的空いています。ゆっくり見られるので、是非訪ねてみてください。
まったく気が利かない人間なので、手元に美術館外観の写真がありませんでした。
公式ウェブサイトはこちら→ http://www.mnw.art.pl/
巨大な中世ギャラリー
中世ギャラリーは、入館してすぐの右手にあります。1階です。
展示スペースも広いのですが、展示されている作品も大型のものが多いです。
特に《グルジョンツ祭壇》は圧巻です!
《グルジョンツ祭壇》(Poliptyk Grdziądzki)
制作:1390年頃
制作地:ポモージェ地方東部
素材:テンペラ、モミの木
サイズ:中央パネル 284 x 234cm、翼部パネル 284 x 116cm
*参照 Galeria Sztuki Średniowiecznej: Przewodnik, Warsazwa 2017
グルジョンツ (Grudziądz) は、ポーランド北部のクヤヴィ・ポモージェ県に属する街で、ヴィスワ川のほとりにあります。
この街のドイツ騎士団(プロイセン)のお城にあった礼拝堂の主祭壇画だったとされています。
ドイツ騎士団のお城といえばマルボルク (Malbork) が有名ですが、あちらには沢山の彫刻が残されています。また別記事で紹介します。
祭日面(または祝日面。祝祭日に両翼が開かれて現れる面のこと)には、マリアに関する場面が描かれます。
平日面(閉じられた状態。祝祭日以外に見ることができる面)には、キリストの受難の場面が描かれます。
祭日面中央の「マリアのお眠り」と「戴冠」も素晴らしいのですが、研究では、平日面の「ゲッセマネの祈り」が比較的よく言及されるような気がします。
一番外側のパネルは壁にほぼ貼り付いていてほぼ見られませんが、「悲しみの聖母とキリスト」「マリアと洗礼者聖ヨハネ」「最後の審判のキリスト」とあと一点(未確認)が描かれているようです。
これだけ大きいと全方向展示は難しいですね。
この祭壇画の制作には、二人の中心的な画家が携わったとされています。
同時代のチェコ絵画の様式が反映されており、おそらくこの画家たちもプラハで修業を積んだものと考えられています。
特に、プラハで活躍した通称トジェボニ(Trzeboń)祭壇の画家の影響が指摘されています。
*《トジェボニ祭壇》はプラハ国立美術館に展示されています。こちらも素晴らしい作品です!
17世紀に一度バラバラにされて、1912~16年の修復で元のポリプティックに統合されたそうです。
中世以外もボリュームたっぷりのワルシャワ国立美術館
勿論見所は中世だけではありません。近代美術も充実しています。
「ポーランド近代絵画の父」と称されるヤン・マテイコの作品を集めた展示室もあります。
去年開催されていた企画展「ユゼフ・ブラント展 (Józef Brandt 1841-1915) (2018. 06. 22〜09. 30) 」も素晴らしかったです。
公式ウェブサイトの展覧会に関するページを貼っておきます。
https://www.mnw.art.pl/wystawy/jozef-brandt-18411915,215.html
ブラントは、コサックを描き続けた19世紀半〜20世紀初頭の画家。
恥ずかしながらそれまでほとんど知らなかったのですが、民族の生活そのものから切り取られたような作品に圧倒されました。
習作に描かれた人物スケッチや衣装の細かな素描が特に印象に残っています。
彼についてもいずれ書きたいのですが、カタログが激重3巻本だったので未だ買えず。留学中に入手したいですね。
今回は、超目玉!な《グルジョンツ祭壇》を取り上げました。
ワルシャワ国立美術館の作品は沢山あるので、またご紹介します。
特に、彫刻がたくさんあるので...本記事で一点触れようと思いましたが、力尽きました。